渡米生活。(日記)

渡米生活。本家から切り離しました。あまり渡米生活に関係のないプログラムネタや音楽ネタなど。

JASRAC管理曲の楽譜をダウンロード販売する(ついでに紙の楽譜もオンデマンド印刷)

ヴィオラ3本とピアノのための小曲、をウン十年前におねだりして身近な作曲家に書いてもらいました。なにしろ初心者でも弾けるように、ということで難易度は低いのだけど、アンサンブルはとても綺麗な曲。是非皆さんに楽しんでいただきたい曲です。

2014/12/9追記:
結局ヴィオラ版はタダで公開。こちらからダウンロードできます

ところが、演奏の機会がなく、出版の機会もないので、このままでは埋もれてしまって勿体ない。
だったら、(例によって)自費出版してしまえ、という話になるのですが……
しかし、アンサンブル楽譜というのは、短いくせに各パートに1部ずつ楽譜が必要になって、印刷すると大変コストがかかるのです。。

というわけで、ダウンロード販売にしようと思い、どこに委託するか迷って色々調査した記録です。
ダウンロード販売したいのはJASRAC管理曲だから、まずはそこのところの手続きを代理でやってくれる、というのが必要条件。

ヤマハの「ぷりんと楽譜

ここは、一番大手でサポートも厚そうだけど、残念ながら個人からの楽譜投稿は受け付けていないっぽい。

@ELISE

ここも楽譜の量ではかなりいい感じなんだけど、やっぱり個人からの投稿は受け付けてないっぽい。というわけで、パス。

同人音楽の森

ここはアカウント作れば誰でも投稿できる。
しかし、手数料40%って……!!!(JASRAC申請料10%含む)
Amazonのe託と同じだよ!! Amazonは、実際に商品を受け取って、在庫を抱えて、発送して(しかもほとんどの場合送料無料)ってやってるから、40%でも、まあそんなもんだろう、と思うけど、データのダウンロード販売なんて空気みたいなもんじゃないですか!!
(芸術的内容のことを言っているのではなく、紙の楽譜を出版・保管するのに比べたら断然コストがかからない、という意味)
クレジット手数料は精々5%、JASRACに10%で、残り25%がシステム利用料って、どう考えても高すぎ。

あと、プロの作曲家の曲なので、「同人」音楽の森、というサイトに委託するのはやはり申し訳ない、、、ので、パス。

オケ専♪

オーケストラやってる人は多分知っている「オケ専♪」というSNSみたいなのがあるのですが、このなかに、アンサンブル楽譜だけを扱っている「アンサンブルの楽譜マーケット」なるものがあります。
ここは、メンバーからアレンジャーを募って販売する形式だから、やはり登録すれば販売可能。
しかも、今回の場合、ターゲットはオーケストラを趣味でやっている人だから、場所的にも問題なし!

…と思いきや、ここも手数料が40%!

あと、値段が500円、1000円、1500円と500円単位でしか決められないのが厳しい。趣味のアレンジャーも募ってるみたいだけど、趣味のアレンジにいきなり500円って壁が高すぎないか。
検索機能もないしなあ。
(ん? アレンジャー募集、ってことは、オリジナル曲は扱わない? そんな縛りはないよな、普通、、、)

DLmarket

今回初めてみつけたところ。
結論をいうと、ここが一番だと思う。

何がいいって、

1)手数料は15〜20%(購入者がどの決済方法を用いるかによる)
2)JASRAC管理曲を使うときは、手数料に10.8%上乗せ。更に四半期ごとに売上げ数の報告義務あり
3)楽譜を買う人が、紙の楽譜で欲しいと思ったら、オンデマンド印刷された冊子が同時に注文できる(!)
4)国際化対応

上記2件と比べて、手数料がリーズナブルなのは勿論ですが、3)と4)が非常に素晴らしい!
つまり、曲を提供する側が冊子を作らなくても、買う側が欲しいといえば、DLmarket側が勝手に製本して販売してくれるのです! 勿論、楽譜発送の手間もナシ。
(ただし、製本されてしまうので、パート譜が必要な楽譜は注意が必要? スコアとパート譜をそれぞれ別売りして、セット販売すればよさそうだけど、その場合JASRAC認可番号はどうつけるのか、とかちょっと考える必要アリ。)

これをやるには、別途「製本直送.com」にアカウントを作り、DLmarketのアカウントとリンクする必要があります。
また、製本楽譜分のJASRAC許諾は自分でやらなければならないみたいです。
どうするかというと、発行部数を報告してお金を払ってJASRAC許諾番号をもらうんですが、オンデマンド出版の場合、最初に部数が決まっていないので、適当に少部数を報告するのかな?
それで、その部数枠使い切ったら、また報告する、という感じだと思います(昔楽譜にJASRACシール貼ってた頃そんな感じだったから、多分同じだろう)。

以前こちらの記事で楽譜の自費出版について書きましたが、このシステムなら、100部も売れないよ、って楽譜でも簡単に1部から出版できますよね。
しかも、よくあるオンデマンド楽譜出版サイトみたいなお仕着せの表紙じゃなくて、自分で表紙から何から作って入稿すればいいわけですから、かなりオリジナリティの高いものが作れると思います。

国際化標準対応なのも素晴らしいです。楽譜なんて、言語関係ありませんから、できれば全世界で売りたい。
英語の紹介文は自分で書かねばなりませんが、購入ボタンなどちゃんと英語用のものが用意されているのは大変有り難いです。


更に、こちらではこんな機能もついてきます。

  • PDF保護機能(PDFファイルに購入者情報を書き込み。閲覧パスワードを設定して不正コピーを防止。)
  • セット販売機能(単品商品を自由に組み合わせてセット販売できます。組み合わせは自由!)
  • 今すぐ購入リンク(サイトから商品ページを介することなく直接DLmarketのカートに商品を入れられます)
  • 購入ページにYouTubeなどの音源をはりつけて宣伝できる

などなど。どうも楽天傘下らしく、購入には楽天ポイントも使えるらしい。

PDF保護機能はスグレモノです。pdfをアップロードして、簡単な設定をするだけで、PDFの全ページのヘッダかフッタに購入者情報を書き込むことができるのです!
更に、購入者専用のパスワードをかけることも出来ます。

これは、購入者のe-mailをパスワードに設定するものです。
これは非常に賢い方法だと思います。PDFを誰かにあげちゃうにしても、パスワードとして自分のメールアドレスを教えなければならないからです。
知人ならいいですが、それ以外の人にメアド教えるのは躊躇しますよね。
勿論、やろうと思えばPDFのパスワード制限を外すのはわけないんですが、それでもフッタに購入者名が書いてあるファイルを、たとえばインターネット上で不特定多数にばらまくのはちょっと躊躇すると思いますし、PDFに「記載された購入者以外の使用はお断り」と書いておけば、不正コピーは一見して不正コピーであることが分かります。

唯一難点があるとすれば、楽譜に特化したサイトではないので、ゲームやらソフトやら何でもアリ状態、更に楽譜についていえば、現在の利用者のジャンルが非常に偏っているように見受けられるので(やたらギター譜が多い)、たとえば弦楽アンサンブル譜なんてのは置くだけではお客は絶対来ないだろう、ということでしょうか。
宣伝は別の部分でやる、と割り切る必要がありそうです。
しかし、決済システム利用手数料としてはかなり安いと思います。


で、結局どうするの、って話なんですが。。

今のところ、DLmarketとオケ専♪に登録してみようかと思います。
というのは、どっちも、売れない限り手数料かからないから。

で、オケ専♪の方はヴィオラ3本+ピアノ版とヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ+ピアノ版の両方をつけて500円で販売し、紹介のところに「ヴィオラ版だけ、もしくはヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ版だけが欲しいひとはDLmarketに行ってくれ、楽天ポイントでも買えるよ♪」とか書いておけば、多分殆どの人はDLmarketにいってくれるんじゃないかなー、と思います。
両方とも欲しいひとはそんなにおらんでしょう。
買ってくれそうな人の目に触れる率という意味では、やはりオケ専♪の方に軍配があがりそうなので。


というわけで、楽譜の個人ダウンロード販売(+オンデマンド出版)もかなり現実的になってきたなー、と思った、という話でした。
また結果はそのうち追記します。


2014/4/15 追記:

DLmarketに登録してみました(3本のヴィオラのためのカプリスじゃなくて別の曲ですが)。
以下のボタンをクリックすると、商品詳細ページに飛びます(このボタンを押しただけでは、まだ購入にはなりません)。
45秒のサンプル音源もつけてみました♪

DLmarketで購入

すばらしいです。DLmarket!
非常に痒いところに手が届く仕様です。
作曲家の皆様、出版出来ずに眠っている楽譜、是非公表されてはいかがでしょう?